午前10時、自宅の書斎でオンライン会議の合間に集中力を高めたいと思っている時
61歳
大学教授(哲学専攻)
妻と二人暮らし(子どもは独立)
講義・論文執筆とも在宅で行う日が多く、午前10時は午前講義と午後講義の間に唯一コーヒーをゆっくり淹れられる時間。研究室の一角に置いたサイフォン式の抽出器で、豆を挽き、湯を沸かし、理科実験のような所作でコーヒーを作る。音も香りも“知的な静寂”の演出の一環。豆は「カリオモンズコーヒー」から通販で購入。
万年筆収集(ペリカンM800)、蓄音機の修理、明治〜昭和初期の哲学書の初版本収集。休日には文庫本片手に古本屋を巡る。音楽はショスタコーヴィチやバルトークなど20世紀音楽。NHK「100分de名著」は毎週視聴し、講義でも引用する。
学術系の論文データベース(CiNii、J-STAGE)、NHKオンデマンド、YouTubeのNHKアーカイブ、noteは「独立学者」や「教養系チャンネル」をフォロー。
朝:6:30に起床、朝刊と軽い体操後、1回目の講義。 昼:サイフォンで抽出したコーヒーを飲みながら、資料読み込み。 夜:研究メモまとめ、エッセイ執筆、21時には休憩。
朝:古本市へ。帰りに自家焙煎の喫茶店で豆購入。 昼:自宅でコーヒーを淹れ、読書。 夜:文芸誌を読みながら家族と語らう。
月光荘のスケッチブック、象印の電気ポット、ナガオカのレコード針、KINTOのカラフェ、無印の漆器茶碗、トリプレットレンズの読書ルーペ。
審美眼と機能美を重視。若い頃に揃えた品を修理しながら長く使う主義。Webより紙のカタログを好み、購入は店頭かメーカー直販が多い。周囲の意見には流されない。
自らの手を動かし、五感を用いて淹れることが精神の調律につながる。ガラス器具の美しさ、火加減の見極め、立ち上る香り——すべてが“知的な儀式”として欠かせない。
抽出後の器具洗浄が手間で、また保温性が低いため冷めやすい点が難点。だが、それも「一杯に集中する」きっかけになっている。扱いに注意が必要なため、来客時には不向き。
視覚・嗅覚・触覚をすべて動員する抽出体験。機械化された抽出では得られない“微細な違い”を楽しめることが最重要。デスクワークの合間に精神を引き締め直す「非効率の効用」がある。
HARIO「コーヒーサイフォン テクニカ」を愛用中。満足しているが、火加減と抽出時間の調整に失敗すると味がぶれる。自動化製品との併用は検討していない。